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希少難病AHCの国際交流会を開催

小児交互性片麻痺 親の会(AHC)

· 2017年度 助成・支援事業紹介

同じ思いの家族とつながりたい

小児交互性片麻痺(AHC:Alternating Hemiplegia of Childhood)という病気があります。新生児もしくは乳幼児期から、発作的に片麻痺や四肢麻痺が繰り返し発生する希少難病です。突然に激しい痛みや強度の痙攣、麻痺、眼球異常運動などが起き、それが数分から数日間続きます。中には呼吸困難になってしまうこともあるといいます。

患者数は全国に50人程度ですが、医師の間にもほとんど知られておらず、正しい診断を受けられない患者が潜在的にその2倍から3倍いるといわれています。先天的な遺伝子情報の一部の欠損が原因で、発症する箇所によりその症状はさまざま。運動機能や精神発達の遅延がみられてもなんとか学校に行ける子もいれば、症状が重く寝たきりの子もいます。

2003年に「同じ思いの家族とつながりたい」と6組の患者家族が集まったのが、任意団体「小児交互性片麻痺 親の会(AHC)」の始まりでした。医師から最新の情報を得たり、年に1回の全国交流会や情報交換をし、政策提言や署名活動、パンフレットの配布、プレゼン活動などを行って認知度の向上にも努めています。

フルナレジンという薬が麻痺発作を軽減させるのに有効ではないかといわれていますが、国内での販売は中止となり、親がそれぞれに個人輸入しているのが現状。設立以来、親の会では、薬の販売再開と、AHCの難病指定への働きかけを活動の柱としていましたが、2015年に小児慢性特定疾患、2016年には難病指定を受けることができたため、今はフルナレジンの販売再開の運動に力を注いでいます。

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国際交流会には国内外の患者とその家族、研究者170人が参加。

交流や連携を深める機会になりました

国際交流会で海外の先進事例を知る

2017年9月、AHCの国際研究シンポジウムが日本で開催されることに併せて、親の会は国際交流会を企画しました。来日する海外の親の会のメンバーや研究者に日本の実情を知ってもらおうと、日本の親の会の会員に実施したアンケートの調査結果を会場で発表。薬の再開と研究の進展への期待、情報量の少なさ、親がいなくなったあとの不安、介助による肉体的負担への悩みなど、会員たちがもつ課題が明らかになりました。

イタリアのミカティ医師からはAHC研究の現状報告や先進事例、新薬の開発状況や、特定遺伝子が解明されたことによる今後の研究の進展についての明るい話題が提供されました。欧州のからはフランスの家族会代表のポンセリンさんが登壇し、家族会が家族支援や研究支援の資金集めとして、募金活動などの現状を変えるためのアクションを起こしていることや、定期的な電話会議で地域ごとの活動や最新情報の交換を行い、家族のQOLを上げる積極的な活動の様子が伝えられました。

子どもの体調不良で来日できなかった参加者が急遽別の人に発表をお願いするといった場面もありましたが、交流会は国内外の患者とその家族、研究者170人が集い、交流や連携を深める好機となりました。

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AHC研究者ミカティ医師による、医学の現場から患者に向けての講演

安心して生きやすい社会を

「難病のこどもを抱える親にとって、毎日の生活の中で、会の活動に時間を割いたり気持ちのゆとりを持つことは簡単なことではないと思います。」親の会の虎頭雄彦さんは看児のケアに追われる親の現状と胸の内を語ってくれました。「そうした中、国際交流会は次について考えるきっかけをいただけた場だったかなと思います。活動もそうですが日常の受け止め方にも大きな違いがあることに、気づくことができました」。

AHCの子どもが保育園や幼稚園、学校に通うには、病気への理解を得るために症状の説明を毎回しなくてはならず、「どこで友だちを作ることができて、どこで安心して学び、どこで遊べるのか」を探す親の負担は少なくありません。「難病児の受け入れ態勢やバリアフリー対応の情報共有、AHCや同じような事情のある子どもが過ごしやすい施設のマップなど、家族の負担が少しでも減る仕組み作りが進むとありがたいです。AHCにかぎらず、難病や障害のある人にも光が当たり、その人らしく生きるための新しい支援の仕組みも必要ではないでしょうか」。

病児とその家族が安心して社会生活が送れるよう、親の会の模索と取り組みは続きます。

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フランスの家族会代表のポンセリンさんによる、ヨーロッパAHC患者会の紹介

・小児交互性片麻痺 親の会(AHC)

 団体情報はこちら(CANPAN団体DBへ)

 

・2017年度日本財団支援事業

 小児交互性片麻痺(AHC)に関する国際交流会の開催

難病の子どもと家族を取り巻く社会的状況に関する調査を通じて、社会課題解決に資する取り組みを社会に促すことを目的とする。

2017年9月21日、親の会(海外8名、国内20名)、国内外研究者142名が参加。事前に国内アンケートを実施。交流会後に交流会の記録小冊子を作成して会員に配布。

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