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キャンプ、野外イベントで楽しい思い出を!

認定特定非営利活動法人NEXTEP

· 2018年度 助成・支援事業紹介

子どものために今できることをする

青空の下に眩しく輝く阿蘇の峰々。その雄大な絶景を見渡せる芝生広場で、子どもたちの歓声が上がります。大型のバギーに乗った男の子は目をぱちぱちとさせて、初めての景色とおいしい空気を一所懸命に感じようとしているかのよう。それを見る両親は満面の笑みを浮かべます。初めての家族旅行に、男の子のきょうだいの喜びようはこの上もありません。

これは熊本に拠点を持つ認定特定非営利活動法人NEXTEPが行っている重度心身障害児のお子さんと家族を対象としたキャンプ企画「ファミリーキャンプ」での一幕です。

NEXTEPの理事長で小児科医でもある島津さんが、まだ学生だった2000年に医療や福祉、教育の問題に関する職種や世代を超えた学びの場作りを目的とした異業種交流団体として活動を開始。「子どもたちが困っていることのために今できることをする」という一貫した思いのもと、現在は不登校児サポート事業、異業種交流会、医療依存度の高い病児を対象に、小児訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、相談支援事業などの小児在宅支援事業を行っています。

在宅支援事業を始めたきっかけは、島津さんが小児科医として障害のある子どもたちを診て行く中で、「家に帰りたい」という願いに多々遭遇したことでした。ところが10年前は法整備が進んでおらず、それを実現するには痰の吸引や設備、サポートする人員など、課題が山積みでした。そこで病院外の環境を整えようとNPO法人格を取得して、小児専門の訪問看護ステーションを開始。その後、「子どもは子どもの中で成長していく」という信念のもと、2015年秋に障害児の通所施設「ボンボン」を日本財団の助成を得て建設するなどしています。

島津さんは学生時代、映画「パッチアダムス」のモデルになった医師ハンター・アダムス氏の講演会を仲間と企画し、2000人が参加しました。その際の「実現したい夢があったらまず行動しなさい。行動を起こした時からあなたは一人じゃなくて仲間がいる」というアダムス氏の言葉がこれらの事業に精力的に取り組む礎になっています。

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阿蘇の山々をバックに集合写真!

参加したお母さんからは「人生で一番の思い出です」という感謝のメッセージが届きました。

人生で一番の思い出の家族旅行

2018年の秋に、ボンボンの宿泊施設に重度心身障害児とそのご家族を北海道と愛媛から招いて、初の家族交流キャンプを開催。阿蘇の自然や地元の観光を楽しみました。

滞在には、普段診ている看護師も同行。NEXTEPの担当スタッフは家族の希望、移動の調整、食事のタイミングなど1日の生活のリズムや、急な体調の変化への対応などの綿密な打ち合わせを重ねました。常日頃から難病の子どもと関わるスタッフの目線だからこそ子どもたちや家族の希望を聞き、それを実現できたと言います。また、今回訪れた場所とのやりとりや受け入れを通じて、こうした子どもたちへの認知も広がりました。

滞在初日の夕食には、NEXTEPを利用する地元の家族2組を招待し、新たな交流も生まれたそうです。

呼吸器や車いすの子どもを連れて外出をするには、多くの準備が必要で、決して簡単なことではありません。これまで1時間以上移動をしたことがないご家族も、この体験を機に「これからも外出にチャレンジしていきたい」と前向きな気持ちを語ってくれました。

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ぶどうにつなげた紐を一緒にひっぱって、人生初のぶどう狩り。

一口食べて目をパチクリ。それを見た親御さんからは「わあ!」と歓声が上がりました。

緑の中で思いきり遊ぶ「青空フェス」

NEXTEPでは、難病の子どもとその家族が外で楽しむ機会を作りたいと、野外イベント「青空フェス」を毎年開催しています。竹の水鉄砲作りや竹のブランコ、木のおもちゃ広場にヨーヨー釣りのコーナーなど、体を使って遊べるお楽しみが盛りだくさん。地元の歌手や、ローカル戦隊ヒーローショー、くまモンも毎年応援に駆け付けて会場を盛り上げてくれます。

 

ボランティアや出店している地元の企業を含めて2018年度の参加者は総勢740人。「また来たい」「人にも勧めたい」とリピーターの口コミで参加者は年々増えています。電源が必要な子どもたちに向けた特別な休憩テントを設置し、医療スタッフを配置するなど、安心して参加できる細かい配慮を重ねており、みんなが想いを共有し、会場が温かい雰囲気に包まれているのも人気の理由です。

 

アンケートでは、青空フェスが唯一の外出の機会になっている家族が何組もいるという現実も浮き彫りになりました。「このイベントを広報して、配慮ある環境の波及と地域社会の障害への理解に貢献できれば」とスタッフの坂本春香さんは話します。

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青空フェスのステージでは、くまモンがサプライズで登場!子どもたちは大喜び。

家族みんなで楽しい思い出作り

「その子の人生の中で、家族と一緒に出掛けて、みんなでワイワイ何かを食べたな、遊んだなという楽しい記憶はすごく残ります。誰でもそうだと思うのですが、楽しい記憶が多い方がいろいろなものを楽しめるようになったり、チャレンジしてみようという気持ちに繋がるのではないでしょうか」と坂本さん。

「日頃から難病の子どもたちと触れ合っている我々の経験と強みを活かして、どうやったら楽しんでもらえるかを考え、みんなに喜んでもらえるような機会をこれからも作っていきたいです」。

NEXTEPは子どもの笑顔が溢れる地域社会を創り出すために、地域と共に医療、福祉、教育の諸問題の解決に必要な事業を考え、行動し続けていきます。

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熊本県内外から社会人、学生のボランティアも多数参加しています。

楽しかったね。またみんなで遊ぼうね!

認定特定非営利活動法人NEXTEP
団体情報はこちら(CANPAN 団体DBへ)

・2018年度 日本財団支援事業(Tooth Fairy)

 難病の子どもと家族の交流キャンプ及び交流イベント

  1. 難病の子どもと家族の熊本キャンプ(2泊3日)
    2018年9月22日~24日/ボンボン(熊本県合志市)、阿蘇市近郊
  2. 難病の子どもと家族が社会とつながる交流イベントの実施(1回)

2018年4月28日(準備)29日(実施)/農業公園カントリーパーク(熊本県合志市)

   740名(県内外の難病の子どもと家族、ボランティア)

  地元企業の協力による屋台出展やワークショップ開催

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